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ESSAY & INTERVIEW

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卒業生インタビュー:佐藤巧現さん(2020年度卒/早稲田祭2023運営スタッフ 副代表)

投稿日 2023/10/21

Text:Kaiji Nakada(5C)・Yuichiro Terui(5D) Photo:warashibe

早実にとって最も大きな行事が文化祭ですが、早稲田大学にも来場者が数十万人と言われる巨大イベント「早稲田祭」があります。早実出身者がスタッフとして関わるケースも多いとか。運営の中核を担っている卒業生にお話を聞きました。

佐藤 巧現(さとう たくみ)
初等部から早実に入学。早稲田大学政治経済学部3年。早稲田祭2023運営スタッフの副代表を務める。

――早稲田祭について教えてください。

年に1回、11月に行われる早稲田大学の学園祭です。早稲田祭って聞くと早稲田の学生だけで盛り上がる祭りじゃないのと思われがちですが、全然そんなことなくて毎年2日間で約20万人もの人が来場します。ディズニーランドの入場者数よりも多いんだとか。それだけ多くの人が早稲田というものに興味を持って早稲田に集まり、早稲田を知ることができる早稲田大学の一大イベントです。

――早稲田祭運営スタッフに入ったきっかけは何ですか?

一つは、早稲田への恩返しをしたかったからです。自分は早稲田実業学校初等部出身で、早稲田の人間になって今年で15年目になります。長い間自分を育ててくれた早稲田に何か恩返しをしたいという思いがありました。その折、早稲田の良さを世間にアピールできる早稲田祭というイベントの存在を知って、そこに魅力を感じました。

もう一つは、たくさんの出会いと経験をしたかったからです。数年前に早稲田祭の代表をやっていた女性の方が「高校生が見ている世界って小学中学高校って100人くらいの知っている友達と遊んだり部活をしたり勉強したりっていう世界だったけど、世界ってもっと広いよね」っていう話をされていたんです。「大学に行くと同期は1万人くらいいて、体育会に入っている人、留学生、サークルに入っている人、OB・OGの方々、地域の方々など、いろんな人と関われるっていうのが早稲田のいいところだと思うから、その特権を存分に楽しみな!」という言葉が響きました。

――早稲田祭2023運営スタッフではどのようなことをやられているんですか?

副代表を務めています。やることは大きく分けて三つあります。

一つ目は、650人ほどいる運営スタッフを集団としてまとめる組織開発です。メンバーが30ほどの部署に分かれて活動している分、組織として機能するための制度設計を考えています。部署を横断してうまくマネジメントしていく取り組みを行っています。

二つ目は、早稲田祭を守る安全対策です。お客さんが安全に、かつ混雑を感じにくくするための対策を考えています。特異な例だと、早稲田駅から大学までを歩行者天国にしてほしいと警察にお願いしに行くことがあります。

三つ目は、早稲田祭をより良くする推進活動です。早稲田祭に関わる方がより楽しむための活動を考えています。パンフレットを工夫したり、アンケートを工夫したり、今までを進化させる取り組みを行っています。

どれも意識していることは、「ありとあらゆることを考える」ことです。何も考えずに去年と同じものをやろうって思ったら簡単にできます。でも、こうしたらどういう人に届くかな?これやったらどういうメリットがあるのかな?これを見た人はどういう風に受け取って何を思って帰っていくのかな?というところまで考えると、いろいろと見える世界も増えてきて、この仕事にはすごくやりがいを感じています。

――全国の大学トップレベルの来場者数を誇る早稲田祭の魅力を教えてください。

前提として、個人的にはそこまで来場者数にはこだわっていません。それよりも、20万人のうち、混みすぎていてよくわからないまま満足せずに帰ってしまう人を作りたくない気持ちが強いです。一人でも多くの人が、早稲田の魅力、面白さを理解して文化や校風に深く触れてもらうほうがうれしいんです。人数にこだわるよりも、早稲田の魅力を知ってもらえるほうがいいっていうのがありますね。

それを踏まえて、他の学園祭にはないところは、早稲田ならではの魅力である「人の多様性」と「早稲田文化」に触れられるという点ですかね。

「人の多様性」については、早稲田って様々なバックグラウンドを持っている人がいて、めちゃくちゃ頭がいい天才がいたり、本庄から早稲田まで100km以上歩くやつがいたり、大隈講堂の前で校歌を歌いながら年を越す愛校心がめちゃくちゃ強いやつがいたり(笑)、多種多様な人がいくらでもいます。そんな人たちがやっているので、個性的で新しい発見がたくさんできるんです。

「早稲田文化」については、大隈重信が創り上げた学風、それを継承する多種多様な学生、さらにそれを支える街が挙げられます。僕は特に早稲田の街の雰囲気が好きです。早稲田って街全体が学生街になっていて、大学と街の距離感が近いんですよ。街の人はすごい学生の人を応援してくれる。だから早稲田祭の名前も、「早稲田大学祭」じゃなくて「早稲田祭」なんですよね。街と大学が一緒になって、オール早稲田で盛り上げていくというのが、他の学園祭では感じることができない魅力だと思います。

今年の早稲田祭のキャッチコピーは『ユメヒビケ』です。4年間、コロナでいろいろと制限されつつも消えることはなかった学生たちの夢。その夢が来場したお客さんに響いて、夢がどんどんひろがっていくという想いをこめてつくりました。ちなみに、今年の早稲田祭のパンフレットには、自分の夢が書ける場所を設けています。

――目玉の企画やおすすめの企画はありますか?

目玉の企画というよりも、皆さんが驚くような仕掛けがたくさんあると思うので、それに「すげー!」って驚いてもらえたらなと思います。大隈講堂前をはじめとしたいくつものステージでは、学生やアーティストが会場を盛り上げています。飲食屋台は80ほど出店します。他にも大隈庭園で鬼ごっこするなど興味が湧くような楽しい企画が数えきれないほどあり、歩行者天国ではエレクトリカルパレードのようなパレードをして……。会場は圧巻の装飾に包み込まれたり、音楽を流したりと、とにかくテーマパークに来る気持ちで来てもらえればなと思います。来場者の方々が1秒1秒楽しめるように早稲田祭を作っています。

早稲田大学の会議室で。

――今年は久しぶりに通常開催の学園祭ということですが、コロナを経て感じたことはありますか?

自分が入学して最初の年はハイブリッド開催で、去年はお客さんの数を制限して開催していました。2020 年からコロナが始まって、当たり前にできることが当たり前じゃなくなりました。例えば、お客さんと直接会えなくなりましたし、マスクを通じてじゃないと話せない世界になってしまいました。

とはいえ、コロナを通じていろんなことが制限された分、人目に付く細部までこだわるようになりました。例えば「ここの道はお客さんにとってわかりづらいだろうな」というところには積極的に広報を促すようになりました。また、コロナで気持ちがダウンしている時にお客さんにどうやって楽しんでもらうかということを目標に4年間やってきたため、むしろコロナ前より「当たり前を疑う」「どうやって楽しんでもらうか?」という視点は強くなっていきました。

――早実の文化祭について何かアドバイスをください。

早実は結構内部で楽しんでいるイメージがあって、自分のクラスの出し物を頑張って用意して、当日は先輩の出し物を見るという感じの人が多いですよね。高3で劇をやったり、高2だと飲食店をやったり、高校生ならではのすばらしいことだと思います。でもそこで終わりにするのではなく、来てくれた人に届けたいもの、お客さんが自分たちの出し物を見てどう思うか、たくさんの人に来てもらうにはどうすればいいんだろう、といった「魅せる」ことを考えると良いと思います。工夫次第で、もっと規模が大きく楽しい祭典にできるのではないでしょうか。

早稲田祭運営スタッフには、高校生の時に早稲田祭を見て、その影響で早稲田大学に入ったという人が多くいます。早実も世間からの注目度が高く、早稲田大学と同じような状況にあると思うんです。だからこそ、「魅せる」を意識するといいのかなと。例えば早実の強みの一つである広いグラウンドを文化祭で活用して、お客さんに魅せるといったことも有効でしょう。自分たちの強みを把握してそれを文化祭でアピールできれば早実のファンはもっと増えるのではないでしょうか。早実のいいところを見せて、お客さんも早実のいいところを見られるというwin-winの関係を目指してもらいたいです。

――早稲田祭2023運営スタッフの副代表として人を束ねる中で、学んだことは何でしょうか?

一番大切なのが、モチベーションをどう保つかということです。社会人になれば給料(お金)というのが一つの指標になりますが、学生の場合は違った考え方が必要です。まずは一人一人がどんな形で学園祭に関わっていきたいのかを知ることが、リーダーにとっては重要だと思います。これは学園祭に限りません。授業でも興味のないことは聞きたくないですよね。例えば世界史の授業で単に100ページ覚えてこいと言ってもみんな覚えてこないと思います。しかし、もし漫画を好きな学生が多かったら、先生がもしキングダムの漫画と絡めて授業をすれば少しは興味を持つかもしれません。とても時間のかかることではありますが、それぞれの人が何に関心をもっているのかを明確にすることが大切です。

モチベーションの低い人を先導するだけでなく、逆にモチベーションの高い人を後方から支援するケースもあります。そういう相手に先回りして指示をしてしまうと逆効果になったりします。使い分けが大事なんです。自分を俯瞰して、前から支援するのがいいのか後ろから支援するのがいいのかを見極め、それぞれに的確な指示を出すことがリーダーにとって大切であることが、早稲田祭の運営をしてわかってきました。

――最後に、早実生にむけて早稲田祭のPRをお願いします。

早実のいなほ祭は劇で踊ったり友達が縁日の屋台で働いたりと自分が関わるものだけど、早稲田祭は早実生にとってほとんど関係のないものだと思うかもしれません。でも「すごい」「来てよかった」と驚きの連続になるような祭を我々は作っていますから、迷わず早稲田祭に飛び込んできてほしいです。関わりがないから行かない、ではなくて、自分の未来に関係するかもしれないイベントと考えて来てくれたらうれしいです。

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