基本情報

校長挨拶

学校長挨拶

早稲田大学系属 早稲田実業学校学校長
早稲田大学商学学術院教授
恩藏 直人
早稲田実業学校の歴史と
教育の在り方

 早稲田実業学校の歴史は1901年にまで遡ります。教育に対する大隈重信の理想を実現するためには、早稲田大学の学風に基づいた中等教育の整備が必要であるという強い決意に基づいて創立されました。かつては早稲田大学のすぐ隣に校舎を構え、多くの優れた人材を輩出してきました。学校名に「実業」という用語があるのは、創立当時の社会的使命もあり、教育目標を実業教育に置いていたためです。

 その後、一時期、早稲田大学から独立していましたが、1963年に再び早稲田大学の傘下に入るとともに、生徒の多くが大学進学を希望するようになっていたこともあり、商業科に加えて普通科を設けました。

 創立100周年を迎えた2001年、国分寺市にキャンパスを移転しました。この移転を機に、2002年からは男女共学とし、初等部を新たに設けるなど、大きな変革を遂げています。2018年には、初等部の第1期生が早稲田大学を卒業しています。初等部、中等部、高等部からなる本校は、早稲田大学の系属校であるとともに、12年間の一貫教育を行う私立学校として名声を築いてきました。

 多くの企業組織に社是、社訓があるように、本校では「去華就実」を校是、「三敬主義」を校訓としています。「去華就実」とは「華やかなものを去り、実に就く」という意味です。つまり、見た目の華やかさよりも中身を大切にするということで、社会に貢献しうる人格の育成を目指しています。

 「三敬主義」とは、天野為之(早稲田実業学校第二代校長・早稲田大学第二代学長)が唱えたもので、「他を敬し、己を敬し、事物を敬す」という意味です。つまり、人に対しては、相手を理解し、敬意をもって接しなければいけない。自分に対しては、良いところも悪いところも含めて、己をしっかりと知らなければならない。そして、机上の雑務から一国の政治まで、様々な事物に対しても、大切なこととして誠意と敬意をもって取り組まなければならない、ということです。

 この校是、校訓のもと、本校では「豊かな学識と表現力」「次世代のタフなリーダー」「伝統の継承」を3つの柱とするSOJITSU PRIDEを持った若者の育成を目指しています。

 世の中はグローバル化し、デジタル化が進み、SDGsなどの新しい社会目標なども打ち出されています。そうした社会の変化に呼応して、本校でもカリキュラムを刷新し、クラスサイズを見直し、さらには海外校との提携などを進めています。しかし、本校が掲げてきた「去華就実」と「三敬主義」は、社会のリーダーとして欠くことのできない価値であり、決して色褪せるものではないと考えています。

 これからも本校では、校是、校訓を大切にした教育方針を貫いていきたいと思います。伝統の継承と新たな価値の創造にともに取り組もうという強い意欲を持つ皆さんの入学を心待ちにしています。

初等部校長挨拶

早稲田大学系属 早稲田実業学校初等部校長
星 直樹
自らの興味関心を深め
事実から学ぶ

 早稲田実業学校は、1901年に早稲田大学の創立者である大隈重信によって、早稲田実業中学として設立されました。さらに、2001年に創立100周年を迎え、早稲田鶴巻町から国分寺の地に移転し、翌2002年に男女共学化と共に、初等部を開校いたしました。

 すでに6期生までの卒業生は大学を出て、社会へと旅立ちました。様々な分野にわたって、優れた社会人として活躍しています。

 本校の歴史と伝統は、校是である「去華就実」と校訓である「三敬主義」と共に積み重ねられてきました。校是である「去華就実」は、上辺だけの華やかさではなく実をとる、外面的な美しさよりも、内面的な美しさを求める大切さを表しています。また、校訓である「三敬主義」は、他者を敬い、自己を敬い、事物を敬うことの大切さを説いています。つまり、この校是と校訓は、物事の実を見て、すべてのことに敬いをもって当たる本校の誠実な姿勢を示すものであり、ただ単に知識のみ、頭のみで捉えるのではなく、日々の生活の中で自ら考え、自己発見をしていく主体的な児童・生徒像を示しているのです。

 こうした理念を受け継ぐ初等部では、個性を尊重し、健康な体、豊かな心、確かな学力を身につけると共に、自ら学び、考え、作り出し、表現する力をもつ、人間性豊かな児童を育てることを目標として、教職員一同、全力をあげて教育活動に誠心誠意取り組んでいます。

 初等部の特徴的な学習の一つに、1、2年生で学ぶ「自然発見」という学習があります。旺盛な好奇心を持った低学年児童が自ら見つけてきた自然物、例えば、帰り道に偶然目に止まった美しい花、公園で野原を駆け回りやっと捕らえた虫などを学級の友達に紹介する活動です。「何を話すのか」「なぜ発表するのか」という活動の根拠となるのは、自分が選んだ自然物一つです。触れて感じ取った手触りや匂い、見てわかった形や大きさ、重さなどは、自分が体感した事実であり、ここから出発する点に学習の意味があります。

 それは、事実から学ぶという点です。事実には客観性がありますが、その事実をどう理解するかは、人により多種多様です。自ら選んだ自然の事象に対して湧き上がる興味や見つけた喜びは、他ではない、自分自身の疑問や不思議を抱かせ、他者へぜひ伝えたい気持ちを湧きたたせます。こうして、事実から出発した学びは、単なる知識の伝達には止まらず、学習を生活の場に引き戻し、自分の考えを持って生活を作り出すという主体性、校名の「実業」にも通じる実学の精神を表すものでもあるのです。

 初中高大という一貫教育のゆったりとした時間の中で、将来、早稲田の中核となる人材育成を目指して、初等部では、しっかりとした生活と勉強の習慣を身につけ、将来の自己実現につながる学びの基礎力を養っていきます。