Text&Photo:Rione Tsuji(5D)
アンコールステージって本当に必要なのかな。私は最近こんな疑問を持ちました。舞台が終わった後にお客さんの「最高だった! また聴きたい!」という要望に答えてくれる、というのがアンコールステージです。最近では、ライブでのお約束みたいなもので、元々準備してあり、事前に行うと決まっていることが多いです。あるとわかっているのにわざわざ終わった演出をするのですよ。言い過ぎかもしれませんが、いわゆる茶番だと思うのです。初めてライブへ行った時にアンコールステージがあることを知らずに帰ろうとしてしまいました。次で最後の演奏です! と本当はアンコールステージがあるのに嘘をつくと、こうして私みたいに帰ろうとして最後の山場を聞き逃すということが起こるかもしれません。しかも、わざわざ前もって曲の準備をしているのにアンコールがなかったらせっかくの努力が台無しになる可能性があるのです。準備していなくても観客からの要望がないと演者側も悲しい気持ちになる気がします。
ですが、この茶番はなんであるのだろうと一度は疑問に思ったものの、なんだかんだ言って実際に叫んでいるときは楽しいです。ライブなどでは必ずと言っていいほどこの茶番、いや、この儀式を行います。これはどういうことかというと、それだけこの儀式はイベントにとって特別だということです。なぜ特別なのかと聞かれたら詳しく答えるのは難しいですが、一番はお得感を味わえることだと思います。
終わり、と見せかけて本当はまだ続きがあるという演出でお得感を味わえます。このお得感は何かに似てます……。映画やテレビ番組のエンドロール後に特別映像や一コマが流れる場面に似ているような気がします。映画館でエンドロール後に何か映像ないかな、と期待して映画が終わっても席を立たずに、最後まであの長いエンドロールを見てしまわないですか。実際に特別シーンがあった時、最後まで見て良かったと満足しますよね。
あと、あの満足感は食後のデザートを思い出します。食後の最後に出されるあの一品を途中で食べる人ってなかなかいませんよね。食後に食べるからこそ特別感があるのです。だからあの儀式も盛り上がりきったあとに行うからより盛り上がります。共感できるかわかりませんが、私はこの例えが1番しっくりくる気がします。
これらは、いわゆるボーナスや特典などの「オマケ」と言えます。実際はあまり利益がなくても、追加で受け取ることでお得になったと感じてより満足します。そのため、ライブではこのプラスの効果を与えるためにアンコールがあります。
もう一度アンコールステージって必要なのかを考えてみると、やはりないと物足りないと感じてしまいます。アンコールを行うこと自体に意味がなくても、それによって満足感やお得感が味わえるのです。アンコールはライブイベントの盛り上がりを更に高める重要な要素の1つとも言えます。やはり、ライブでアンコールを茶番に感じようが、アホらしいと思おうが、一つの儀式として必要不可欠です。
とここまでいろいろ書きましたが、ただ単にアンコールの良さを語っただけでは面白くない気がしてきました。アンコールに限らず、人生においていろいろな茶番、儀式、オマケがあると思います。例えば、サプライズギフト、ラッキーアイテム、割引クーポンなどです。本当はなくても変わらないけど、あったら得した気分になるもの。それで日常の中でもお得感を味わえたら楽しいですよね。本当はメリットがないのかもと思っても、結果的に満足していれば十分です。
だから、私は全力でアンコールを楽しみます。