Text&Photo:Yuto Koizumi
今回与えられたテーマは「私の好きな時間」なわけですが。好きっていろいろありますよね。昔はそうだったけど今は違う、昔から好きだ、最近好きになった、っていう感じで。そうだな。昔、朝が大好きでした。もちろん今も好きっちゃ好きですが。「おさるのジョージ」が見たかったんです。もちろんそれだけが理由ではないですが。あれは土曜日にやってたかな。それを見るために早起きしてテレビの前で正座してました。親に「そんなに見てたらサルになるぞ」ってよく脅されてたな。
一応まだ僕はサルになってないです。でも「不可能なことを不可能だと証明するのは不可能」である、とよく聞きますよね。だから僕もまだサルになる可能性があるんです。
みなさんはもしサルになったら、って考えたことありますか。実際、ホモ・サピエンスという生まれながらにもらった最低限のアイデンティティを失うという悲しみの深さは計り知れません。想像しただけで身の毛がよだつ気がします。サルになったら毛量が増えるので、より実感できるかもしれませんね。
たとえサルになっても僕は人間社会で変わらず生きるつもりなので、この話はいったん置いときます。
今はどうなんだ、何の時間が好きなんだ、っていう話でしたよね。とはいっても急に答えが出せるような話じゃないので、ちょっと考えてみようと思います。良ければお付き合いください。
まだ僕は「私の好きな時間」について本質的に語っていないんです。なんでだと思いますか。「急に答えが出せるような話じゃない」とか言いましたけど、それは半分嘘です。本当はね、(面白みがないこと言ったらどうしよう)とか(受け入れられなかったらどうしよう)とか考えてるわけなんですよ。ただの弱虫ですね。でも、実はここに答えがあったんですよ。
は?って思いましたか。これ、一回やってみたかったんです。探偵が突拍子もないことを言って、いったん聞き手を困惑させるやつ。なんか頭がよさそうに見えますよね。ひとつ夢がかないました。ありがとう。
話を戻しますね。何が言いたいかっていうと、「過去を思い出す時間が好き」っていうのが一つの答えとして浮かんできたんです。最近覚えた言葉だと、ノスタルジーな感情に浸るっていう感じですかね。本当に好きなんですよ。なんか自分が成長したように錯覚させてくれます。なんならほんとうに成長してるのかもしれません。ほんとうに些細なことですよ。あのときああすりゃよかった、とか今より未熟だった自分とか。そういうのを思い出してはそのたびにエモいなーと。
「私の好きな時間」というテーマ。できれば高尚な趣味でも披露したかったんですけどね。3時にはアフタヌーンティー。そのあとは、ピアノを。とか。アフタヌーンティーに関しては文化祭でやることになったのでちょっと知っとかないとまずいな。ともかく、過去を振り返るのは一番等身大で誰にでもできる、今で言うとタイパやコスパに優れたことなのかなと思います。その点おすすめしやすいかなと思ったりもします。
過去を振り返るだけじゃなくて、はるかスケールの大きいものに思いをはせるのも好きです。
地球はなぜできたのか。宇宙の小惑星がくっついた、とか聞いたことがあります。じゃあ宇宙はどうやってできたのか? 「宇宙の前には絶対に何もない状態があった」と思いませんか。僕は宗教にはまっているわけじゃないけど、説明のつかないことは神様で解釈するしかないですよね。僕は神様がいたっておかしくないんじゃないかなと思っています。
あと、それでいったら僕たちが僕たちであることの素晴らしさ。これも感じました。つい昨日、布団に入った直後。思ったんです。ちっぽけな単細胞生物から始まって、そこからなんどもめまぐるしく変わる環境に適応し、今に至る。つたない言葉で申し訳ないですが、ヤバいですよね。奇跡すぎます。それでありきたりだけど、もうちょっと真剣に生きようとか思えてくる。
僕にとってこうやって考えごとをするのはある種、冒険なのかもしれません。自分の手の届かない、神の領域。人間は動物の中で唯一…とも限らないですが、考えることでその領域にたどりつける。思考を止めるということはいわば超能力の放棄だって、僕はそう思います。
