Text&Photo:Temma Iijima
学校がない平日の昼が好きです。特に祝日じゃなくて、創立記念日とか文化祭の振替休日とかで、他の学校は授業中なのに自分の学校だけ休みの時間。なんていうか、時間がゆっくり流れてる感じがするんですよね。
私の住んでるところが完全な住宅街なのもあるのかもしれませんが、人があんまりいなくて、たまにすれ違うのはお年寄りとか子連れの人とか、普段外を出歩くときには絶対に会わない人なわけじゃないですか。毎日のように通ってる道のはずなのに、時間帯が違うだけで全然違う場所を歩いているような不思議な気分になる。
私たちが登校したり帰宅したりする朝と夕方って、駅も忙しいですよね。みんなが義務的に学校とか仕事とかに向かおうとしてる感じ。あれ、ちょっとだけ苦手で。
昼に街中を歩いてる人って、別に義務でもなんでもないわけです。買い物とか何か目的はあるのかもしれないけど、急ぐ理由はどこにもない。だから、時間がゆっくり流れているように感じるのかもしれません。
目的がないことっていいなって思います。だって、学生なんて特に成績を上げるために勉強するとか、大会で結果を出すために部活の練習を頑張るとかするし、何をするにも目的が求められるんですよ。
そう考えると、昼って唯一何もしなくてもいい時間なのかもしれない。朝は起きて一日の準備をしないといけない。夕方や夜になると今日中にやらないといけないことが頭に浮かび始めて焦る。だけど昼は、まだ一日の終わりまでは時間があるから、ぼーっとしたり意味のないことをしたりすることに対して罪悪感を抱かなくて済む。
何もしない時間って、退屈なんですよ。基本いつも我々って何かしてるから。でもだからこそ、何かをやりたくなる気がします。だけどその何かは、人からは与えられない。だって別に目的も何もない時間だから。だからこそ、その時間にやりたくなったことが、自分にとって本当にやりたいことなんだと思います。
ぼーっとする時間って受動的に見えて、実はものすごく能動的な時間なのかもしれません。だって自分からやることを見出すわけですから。
「人生が豊か」って言われるとどうしてもいろんなことに取り組んでる人、みたいなイメージになりがちだけど、本当に豊かなのって、そうやって自分だけの何もしない時間を大切にできる人なんじゃないかなって気がするんです。
