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ESSAY & INTERVIEW

Sparkle

投稿日 2025/10/27

“Text&Photo:Ayane Imamura

落ち着くところっていいですよね。リラックスできるところ。自分の部屋とかもいいんですけど、私はそれだと寂しい時があります。わがままですが、誰かとつながりを持っていたいんです。孤独を感じちゃうから。でも他人と関わるのは面倒なこともあるんですよ。私にとってそのちょうど境目といえる空間は人の少ないときの部室です。

私は吹奏楽部に所属しています。部活は楽しいことだけじゃないし、大変なことも多いけど部室にいると落ち着くんですよね。もちろん辛いことを思い出しちゃったりもします。ただそれも含めて安心感のある場所というか。ここならなんでも受け入れてくれる、みたいな感じで。

正直、汚いです。掃除してくださいって言われないとしないし、いつの誰のものかもわからない私物は散乱してるし。でも1年過ごしてみて、その雑多加減がちょうどいいのかもしれないなぁって思うようになりました。ある意味歴史とその繋がりを感じるんです。独りじゃないなって。顔も名前も知らないような先輩の物が落ちてるんですよ? 他の場所にはあまりないと思います。最低限の掃除はしてほしいですけどね(笑)

教室は落ち着きません。特に4月は。一生懸命過ごしやすい空間を作ってくれてる担任の先生には本当に申し訳ないですけど、よく知らない人がたくさんいるところで生活するのは疲れるじゃないですか。別に教室を批判したいわけではないし、今のところクラスメイトはみんないい人だと思ってます。ただ、それと比べちゃうと部活に知らない人はいないし。(新入生は別です、甘いものは別腹的な?笑)部活特有の悩みもあるけど、結局好きなんですよね。あの空間が。

私は中学のころからいわゆる部活人間でした。その時も活動場所だった音楽室が好きだったのをよく覚えています。それで思いついたんですけど、部室が好き、とか音楽室が好き、っていうのはそれに紐づけされた思い出がいいものだからじゃないかなって。一緒に活動していた、している仲間が好きなんだと思います。

ふと我に返ると青春してんなー、こいつって感じです。いきなり青春を語り始めるんですけど、何かに夢中だったり一生懸命だったりする姿ってかっこいいじゃないですか。そういう人は輝いて見えるし。自分がそうなっているかどうかは他人、もしくは過去を振り返った未来の自分にしかわからないと思うんです。今はただ目の前のことに全力で突き進んでいく覚悟です。

でも私は所詮人間で、ずっと全速力で走り続けることはできなくて。少し立ち止まりたいなってときとか落ち着きたいときに私の支えになる場所が部室です。受験生をはじめとしたこの記事を読んでくれている皆さん、吹奏楽部に悪いイメージを持っている(持たせてしまったかもしれませんが…)のなら、それは誤解です。たった1年間過ごしただけで自分の部屋より安心できる場所になるんですから。それぐらい素敵なところなんです。素敵な部活なんです。

すごい宣伝みたいになっちゃったんですけど、そういうつもりじゃなくて…わかってください(笑)。部活愛があふれてるのを感じるかもしれませんが、いつも大好きなわけでもありません。「好き」って気持ちを持続させるには、ある程度の距離を保って接することも大切だと思うんですよ。

自分の部屋と部室の違いもそこにあるのかなって。いつも生活する部屋と部活をするための部屋。どちらも落ち着きはするけど、ちょうどいい距離感だからこそ心地よい空間が存在できるんだと思います。どんな人にも自分らしくいられるところ、居場所はきっとあるんです。生きていればいつか必ずそんな場所が見つかると信じています。焦らず自分なりのペースで、一生をかけて探してみるのもいいんじゃないでしょうか。