Text&Photo:Natsuki Hayashi
映画での主役は何なのでしょうか。もちろん、ストーリーとして見ると、主人公、つまり俳優が主役なわけですが、映画を作る工程も含めて考えてみると、場面場面で変わってくると思いませんか?
映画のオープニングを飾る音楽が流れるときは音響、地味なヒロインがドレスアップし、見違えるほどきれいになるシーンではヘアメイク、衣装など。しかも同じシーンでも人それぞれ注目するポイントは変わってきます。今回は、私の大大大大大好きな映画『ハリーポッター』シリーズをもとにして、いろいろな角度から主役を探していこうと思います。
①衣装
ハリーポッターは学校が舞台なので、生徒はみんな同じ制服を着ているはずなのですが、見ていて「あ~ぽい」などと思うこと、ありませんか? ハーマイオニーはきっちり第一ボタンまでしめていたり、ロンは緩めにネクタイを締めていたりと、服から性格が伝わるほど、芸が細かくなっています。
そして、「衣装」と言えば、この映画を見たことがある人ならそのほとんどが一つのシーンを思い浮かべるでしょう。第4作『炎のゴブレット』のダンスパーティーです! 原作では地味で勉強一筋だったハーマイオニーが突然誰よりも美しくなって登場し、周りの目をくぎ付けにするシーンなのですが、それがそのまま再現されているんです(ハーマイオニー役のエマワトソンが元々綺麗すぎたのでどうやって再現しようか頭を悩ませたそうですが)。このシーンでは他にも様々なキャラクターの普段とは違った姿を楽しめます。例えばハリーと踊ったパーバティの衣装はインドのサリーのようになっていて、ハリーポッターの世界観とずれているかなと思いきや、なじみつつも良いアクセントになっていてとても素敵なんです。おそらく色味やデザインもたくさん考えた成果としてあのシーンがあるのでしょう。書いていて再確認しましたが、このシーンの主役は間違いなく衣装さんたちですね。
②音響
音響とはちょっとずれるかもしれませんが、ハリーポッターは劇中の曲がすべて統一感があって、世界観とすっごくマッチしているのもポイントです。私の中学校の音楽の授業で扱われたのがハリーポッターの「ヘドウィグのテーマ」でした。この名曲は言うまでもなく、魔法界の不思議な感じととても合っています。私の中ではスターウォーズのオープニングの曲と並んで、「きたきたー!」と鳥肌が立つ曲です。
でも私が特に音響に注目していただきたいシーンがあるのが、第5作『不死鳥の騎士団』です。魔法省のアンブリッジが学校を乗っ取り、生徒が厳しいテストを受けている場面で、「アンブリッジ先生のテーマ」が流れます。普通に聞いたら可愛らしい曲に思えるのかもしれませんが、私たちはそれまでの物語からアンブリッジの邪悪な性格をわかってきているので、「プライドの高いイヤなおばさんの歌」に聞こえて、ぴったり! と思うことでしょう。ハリーポッターの音楽には、こういった作品解釈と一致したところがとっても多いんです!
③CG
ハリーポッターシリーズは当初、映画化は無理なのではないかと、反発を多く受けたそうです。なぜか? 一つはJ.K.ローリングの書いた原作が爆発的にヒットしたため、ファンが映画版にがっかりしてしまう恐れがあったこと。そしてもう一つは、魔法を実写で表現できるのかという不安です。確かに、魔法のCG感が強すぎたら、内容は入ってこないでしょうし、ファンはがっかりするでしょう。しかし、実際できた映画を見てみたらわかるでしょうが、魔法が綺麗に画面になじんでいて引き込まれるのです!
小学生の私はハリーポッターを見て魔法の存在を信じていました。何なら今もです。CG技術のすごさが最もよく分かるのは、魔法動物だと思います。第3作で登場するヒポグリフや第5作でハリーたちを魔法省まで連れて行ってくれるセストラルは、とてもリアルでワクワクしますよね。彼らは、骨組みとCGを組み合わせたものなんです。だからなのでしょうか、メイキング映像を見ると、俳優も実物が隣に居ながら演技ができるので、CGのみで実体が何もないよりも演技しやすいように見えます。
④大道具・小道具
先程のCGの話と似てくるのですが、ハリーポッターに使われる様々なセット・小道具には「え、本物かと思った!」と「え、CGかと思った!」が混在しています。例えば、ハグリッド役の俳優さんはロビー・コルトレーンですが、ハグリッドの顔は作られたものなんです。この前豊島園跡地のハリーポッタースタジオツアーに行って初めて知ってとても驚いたのですが、ハグリッドは俳優に生首を付け、それを操作しながら演技をしていたそうです。全く違和感がなくて驚きますよね。俳優の演技力と映画用道具のプロが力を合わせると、あんなに原作に忠実で親しみ深い大男が誕生するんです。
それから、ホグワーツ城のセットも圧巻ですよね。肖像画や各寮の談話室一つ取っても魔法のワクワク感に満ちていてとっても素敵じゃないですか?? 皆さんおなじみグリフィンドールの寮は温かみのあるアットホーム感が満載ですが、第2作で一瞬だけ出てくるスリザリンの寮は、差し込む青白い光と黒を基調とした室内がスリザリンの高貴なイメージにぴったりです。どちらにも良さがあり、実際にキャラクターたちがその寮でどう生活しているのか想像を掻き立てられます。男子部屋のそれぞれのベッドにキャラクターの個性が出る小物が置いてあったり、動く階段や闇の防衛術の教室のつくりなど、一つ一つが緻密に作られていたりとリアルなのも観客を世界観に引き込むのに成功している要因と言えるでしょう。
いかがですか? やっぱり、映画は色々な分野の主役が集まってこそ良いものになるんだろうなあと思います。いくら主演俳優が頑張っても、その人を際立たせたりストーリー進行をスムーズにする役割がいないと魅力半減じゃないですか。正直まだ語り足りない、もはや『ファンタスティックビースト』への愛も語りたいくらいですが、今回はここらへんでおしまいにしておきましょう。
裏方の情報やキャストたちのプライベートを覗きたい方には、ぜひメイキング映像を見てほしい!! キャストの方々がカメラが回っていないところでも仲良く談笑してる姿や、プロデューサーからの裏話などはファンからしたら幸せでしかないですよね。私はNG集だけでご飯三杯いける位大好きです(推しがいる人は共感してくれるはず……)。その他にも、豊島園にあるスタジオツアーや、ユニバーサルスタジオジャパンのハリーポッターエリアでも存分に世界観を味わえると思うので是非一度足を運んでみてください!
