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ESSAY & INTERVIEW

攻略法がないゲーム=人生

投稿日 2024/12/23

Text&Photo:Ryuta Hasegawa

以前ハイキューの劇場版が放映され、どっぷりはまった。バレーボールにはピンチサーバーというサーブだけ参加してサービスエースを狙うという選手がいる。烏野高校の山口や木下などがそのパターン。ある一つの技術を磨いて自分のものにするというのは他のスポーツにもたくさんある(サッカーだったらフリーキッカー、野球だったら代走とかね)。でも、そうもいかないスポーツもある。あなたはどんなスポーツを思い浮かべますか?

自分は陸上だと考えます。陸上部に入って身に染みて感じるのですが、速い人はなにをしても良いところまで行くんです。たとえ走っている途中にハードルがあっても最初は戸惑うかもしれないけど1週間もすればスイスイ走れてしまう。全国大会に出場している人って、陸上なら何かしらの種目で全国大会に行ける実力があるんですよ。もちろん専門練習をきちんと積んだらね。

だから、よく陸上は残酷なスポーツって言われます。点が入るスポーツや勝ち負けが決まるスポーツと違って、陸上は明確に自分の実力がタイムや記録として出るんです。超へこみますよ。長距離で全国大会に行っている人が短距離専門の自分よりも100mが速かったり、日本トップレベルの大会でハードル専門の選手が走り幅跳びで優勝したり。明確な記録が出るのは良い面がある一方で、挫折につながることも多いんですよね。

突然なんですけど、自分は語学ができないんですよ。いくら単語ができても文法ができなくちゃバツにされる、という問題のせいで今までに何点落としてきたのか。でもこれって陸上も似てるんじゃないかなって思うんですよね。陸上も語学も、一つの種目だけが優れていても思うような結果は出ない。全体を満遍なく鍛えて初めて成果がでる。時間がかかるんです。

結果が出ないのに努力するってなかなか難しいことですよね。今までの自分はトレーニングをした次の日には腹筋が割れてたり、食事を一食抜いたらその分の体重が減ったりとか思っていた、いわゆる単純な性格だったんです。それこそ走れば走るほどタイムは早くなると思ったし、英語の本を読めば読むほど英語力が付くと思っていた。でもそれは間違いなんですよね。

目に見えない努力をコツコツ積み重ねていつか開花する。この仕組みって生きていくうえで避けることは出来ないと思うんです。例えば学力やダイエットでもどこかで停滞期が来るかもしれないし、逆に思いもよらぬところで成長するかもしれない。努力と成果が比例するとは限りません。でも、努力をしなくちゃ成果は絶対に出ないし、成果を出すための一番の近道は努力だと思うんです。

人生って先の見えないトンネルだなと。そのトンネルには無数の分岐があるけど、ヒントも攻略法も存在しない。自分はまだ高校生で周りからのサポートも期待できるけど、大学生、社会人になるにつれてそれも少なくなっていくのでしょう。最終的に使える武器は自分自身とこれまでの努力、それだけ。人生に絶対的な攻略法は存在しないんじゃないかな。

最後はハイキューの名言で終わらせよう。

「目の前にたちはだかる高い高い壁 その向こうはどんな眺めだろうか どんな風に見えるのだろうか」

今の目に見えない努力が実を結ぶときが楽しみでたまらない。