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ESSAY & INTERVIEW

夢が見つからない

投稿日 2024/2/19

Text&Photo:Rione Tsuji(5D)

夢を追い続ける人はかっこいい。それで夢が実現したらさらに素敵ですよね。でも私は「夢は何?」と聞かれるのが苦手です。なぜなら、はっきりとした夢がないからです。大学のどの学部に入ろうか決める時に自分は将来何になりたいのか、何をしたいのかを参考にします。しかし、何もないのです。幼い頃はお花屋さんやパティシエなどの定番の夢を持っていましたが、成長するにつれてもっと現実的なことを考えるようになりました。つまり本気で夢見ていたわけではなかったのです。高校を選んだ理由もとても浅はかです。夢や目標はないけど、とりあえず大学にいける高校へ行きたいという理由で選びました。そして、高校生の間に自然と夢なんかできるでしょ!と軽く考えていましたが、いまだにしたいことは見つからないままです。だから、将来の夢がはっきりしていてそれに向かって努力している人がすごくカッコよく見えます。漫画やドラマの主人公ってだいたい夢を持ってます。それを見ていると、羨ましいと思うと同時に夢がない自分の人生がつまらなく思えてくるのです。夢を見つけないといけないというプレッシャーで焦るのですが、それで夢が見つかるわけではありません。こんな悩みを持っている人、私以外にもたくさんいるのではないでしょうか。

それで、本当に夢って必要なのかを最近よく考えます。幼い頃に将来の夢を卒業文集に書かされたり、学校の三者面談で将来したいことは何?と聞かれたり、夢を持つことが当たり前のように思わされてきました。本当に夢を持っていたら必ず幸せなのでしょうか?

6歳の時につくったケーキ

そこで、私はすごく共感できる本に出合いました。それは、『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』(高部大問、イースト新書)です。世の中が多様化しているなか、ハラスメントも多様化しているみたいですね。セクハラ、パワハラ、モラハラ、そして「ドリハラ」。ドリームハラスメントとは、言われた側に苦しみを生み出す、夢を持つことを勧める行為のことです。気をつけないといけないこと多すぎじゃない?と思うかもしれませんが、ハラスメントと名づけることで問題が可視化されて救われる人もいるかもしれません。実際に私もこの本のおかげで夢に向かっていない自分に不安を抱かなくなりました。

「夢を持て!」という大人たちからの悪意のない言葉が、子どもたちにとって実はハラスメントになってしまいます。夢は必須じゃないし、夢にもいろんな形があって、途中で変わっても良いのです。この本には、そもそも叶えるのが容易ではないから夢であって、夢なんか持っていないのが当たり前、ということが述べられていました。今の時代、何が起こるかわからないし、未来なんか予測できません。だから、若いうちに自分の可能性を狭めるのはもったいない。この本は夢がない自分を責めている人だけでなく、無意識に夢を持つことを強要してしまっているかもしれない人にもぜひ読んでもらいたいです。夢を持っていない人は今を生きて、流れに身を任せましょう。そして、大人には夢を強要して若者を追い詰めないようにしてほしいと思います。