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ESSAY & INTERVIEW

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在校生インタビュー:大友里紗さん(Stamford Endowed School留学)

投稿日 2023/7/24

Text:warashibe Photo:和田英士(Atelier Graphia)

早実には様々な留学プログラムが用意されています。種類が豊富すぎてよくわからないという声もあるようですが、せっかくの制度を利用しないのはもったいない。検討のヒントになるように、先日留学から戻ってきたばかりの高2(現高3)生徒に話を聞きました。

*本記事は2022年度生徒会誌「warashibe No.62」からの転載です。

大友 里紗(おおとも りさ)

初等部から入学。2021年9月~2022年7月まで、Stamford Endowed School(イギリス)に留学。

――まずは今回利用した留学制度について、大まかな流れを教えてください。

早実には正規留学のプログラムが2つあるんですけど、そのうちの1つであるStamford留学制度を利用しました。留学期間は高等部1年の後期開始から高等部2年の前期が終わるまでです。9月から7月なので、ちょうど現地校の1学年分にあたります。
高1の春に説明会があって、そのあと書類選考と面接が続きます。一次面接は英語と日本語で早実の先生とおこない、現地の先生とオンラインで話すのが二次面接です。書類でもそうですが、志望理由を話すことが主だった気がします。選考は5月頃から始まって、それで9月には向こうに行ってしまうので結構慌ただしいです。ただイギリスの学校は休みが多くて、クリスマスを挟んで一か月くらいある休暇には学生寮も閉まっちゃうので一度日本に帰ってきました。お正月はあまり重視されないので、1月4日か5日には学校が始まりましたけど。そのまま夏まで向こうで過ごしました。

――どうしてStamfordに行こうと思ったのでしょうか? 

もともと中学か高校の間に留学したいとは思っていたんです。ただもう一つの正規留学先のラグビー校は、私たちの時には留学期間が中3から高2までの2年間とすごく長くて(*現在はラグビー校も1年間)。帰国してから早実の勉強だったり生活に馴染むのも大変じゃないかなと。それに義務教育は日本で受けておきたかったというのもあって、高校に入ってから行けるStamfordの方に応募しました。

――現地での生活はいかがでしたか? 

学校のある街は落ち着いた、歴史を感じさせる土地でした。建物は石造りで、街中を川が流れていて。住民はほとんどがイギリス人でしたが、学校はアジア、アフリカ、ヨーロッパと色んな国からの留学生がいました。私が在籍したのは大学進学前の学生が通うコース(2年間のうちの1年目)でした。70分の授業が1日4時限で、そのうち1コマはだいたい自習時間。図書館で勉強したりレポートを書いたり。授業は選択制で演劇、心理、あとは生物を選んだんですけど途中で地理に変更しました。とにかく受けたいものを選んだので、日本に帰ってからは数学に追いつくのが大変でした。自分の計画では留学中にも日本の勉強をコツコツ進めるつもりだったんですけど、行ってみたら向こうのことで手一杯で全然無理でした。結局帰国後の夏休みにまとめてやることに。数学だけじゃなくて社会なんかも、まだ抜けてる分野はけっこうあります。
語学は小さいころから勉強していて、それなりに自信はあったんです。それでも友達同士の会話、話題についていくのは大変でした。先生の言うことやテキストに書かれていることはある程度わかるんですけど、テキストの専門用語よりも友達同士の会話に出てくるスラングが難しいです。特に仲良くなった友達はどちらかというとおっとりした子たちです。気が合う子との会話にはすぐに慣れました。

(大友さん提供)国際女性デーに、寮にて撮影。

――特に日本との違いを感じるところはありましたか?

「先生が生徒に教える」っていう雰囲気がありません。もちろん教えはするんですけど、一方的じゃなくて生徒からの発言が多いし、先生との距離感も近いんです。どの授業も生徒は多くて10人くらいなので、質問がしやすいのはありがたかったです。まあその分、ごまかしがきかない辛さもあるんですけど。
大学進学を控えたコースだったので、進路についてのプログラムがとても充実していました。将来を具体的に考えている友達がたくさんいて、影響されましたね。学校のサポートが手厚いので、これならこのままイギリスの大学に進学できちゃうんじゃないかって思ったこともあります。

――それでも戻ってきたんですね。

友だちにも「えっ、帰っちゃうの?」って言われたりして、迷うところもありましたけど、やっぱり早実での生活と、早稲田大学に行きたかったというのが大きいです。それに大学に入ってからでも留学する機会はあると思いました。寮生活だったし、本当に仲良くなった子もいて、別れる時はつらかったけど、行く前から最後は絶対寂しくなるってわかってたので。

――留学で得られたものを個人的にあげるとしたら何でしょう?

行ってみてわかったのは、センシティブな話題でもちゃんと話し合おうとする環境があるっていうことです。日本でいうとホームルームの時間に法律のこと、お金のこと、性教育、人種や差別について、いろんなことを生徒同士で話して、しかも話し合いが盛り上がります。変に気を遣ったりするんじゃなくて、ちゃんと考えるっていう空気が共有されてて。そういう環境があって、それは心地いいものなんだっていうことに気づけました。
あとは寛容さです。食堂には必ずベジタリアン用のメニューがあります。ムスリムの生徒はチャペルに参加しなくていいよって言ってもらえますし、そういうのが当たり前で。多様性への配慮に接することができたのは、人としてよかったなと思います。

――今後留学を考えている後輩にアドバイスをお願いします。

早実は高校での海外留学がしやすい学校だと思います。ほとんどの人は大学受験が必要ないので。今は色んな高校で留学経験を生かしてAO入試を受ける人も増えてますけど、それでも早実の方が行きやすいだろうなと。留学に興味がある、英語が得意っていう人にはぜひチャレンジしてみてほしいですね。